生きるを手繰る

生きづらい私が、生きる気持ちをゆるりと手繰り寄せるために

自分が嫌いで仕方ない気持ちとOK牧場(ガッツ石松でない)

基本的には自分が嫌い

正直なところ、私はまだ自分があまり好きになれません。「自分の長所を10個挙げてください」と言われると困惑します。何度か考えてみたことがあるのですが、ウンウン唸った挙句に「食べ物の好き嫌いがほとんどない」「どこでも寝られる」「太っても、体の末端(手首や足首)だけはスリム」くらいしか浮かびませんでした。しかも最近は寝つきが悪く、“どこでも寝られる力”も発揮できていません。

きっと、屈折した自己愛みたいなものは人一倍あるのだと思いますが、自分のダメな所にばかり目が行きがちで、良い所は正当に評価できない傾向があります。そして何か失敗や挫折をすると、その傾向はますます強くなって落ち込みます。「自分はダメだ自分はダメだ。存在価値なんて少しもない」と自分への呪いモードが発動します。自己否定の塊です。

その一方で、なぜか他人の良い所は結構挙げることができます。好きな人のことはもちろん、嫌いな人の良い点も、まあまあ挙げることができます。例えば、押しが強くて図々しい人に出会うと「うわぁ苦手」と思うのですが、同時に「むしろたくましくて、うらやましい…」と裏返して美点にとらえていたりもします。人付き合いはあまり得意ではないですが、他人に対しての基本的なスタンスはわりと肯定的です。

心理学用語の“OK牧場”と自分と他人

こういうことを考えると、学生の時に何気なく受講した「心理学入門」の授業をいつも思い出します。

自己と他者へのスタンスを考えるにあたって、“OK牧場”という概念に触れた授業だったと思うのですが、この言葉のインパクトが大きすぎて、授業の他の部分を全く思い出せません。OK牧場のことだけが、今も記憶に残っています。

ご存知の方も多いかもしれませんが、改めて。正確には、心理学の中でも交流分析という分野の用語だそうですが、どういう話かというと、大体こんなイメージです。

心理学におけるOK牧場のイメージ

下記を参考に作成しました。
交流分析 - Wikipedia
OK牧場 OK corral | 交流分析 杉田峰康

 

 「私はOK。他人(あなた)もOK」と肯定的に捉えられるのが、図のピンクのゾーンです。大らかで幸せそうなイメージです。

「私はOKだけど、他人はOKじゃない」のが赤のゾーン。他人に対して攻撃的になったり、自分だけが辛い目に遭っていると感じるイメージでしょうか。みんなが敵に見えて、なかなかしんどそうです。

「私はOKじゃないけど、他人はOK」が青のゾーンです。私がOK牧場を知った時、「まさに自分はこれだ!」と衝撃を受けたのを覚えています。だからこそ、今もしばしばこの概念を思い出すわけです。落ち込みやすい人、うつ傾向にある人は、ここに当てはまることが多いのではないでしょうか。自分を傷つけたい気持ちや行動、「消えてなくなりたい」と思う根底は、ここにあるような気がしてなりません。

「私はOKじゃないし、他人もOKじゃない」は真っ暗な世界のように思えたので、黒のゾーンにしてみました。順位をつけるのもナンセンスですが、こうなってしまうのが一番辛いような気がします。あらゆる物に対して破壊的になってしまいそうです。

 出来事や調子によって、OKとNOT OKを行ったり来たり

人は実際にこの一つの立場に24時間とどまっているわけでなく、四つの間を移行するものである。

と、上記の杉田先生(心理学者)のサイトにもありますが、 実際には人間は一生同じスタンスに留まることはなく、その日の出来事や調子によって、この間を行ったり来たりしていると思います。それはそうですよね。ガンジーもマザー・テレサも松岡修造も、時には何もかも嫌になったりするのではないでしょうか。たぶん。

その移り変わりについて、自分を例に挙げてざっくりまとめてみると、こんな感じです。うつが一番酷い時は自責の念が強くなりますし、時には被害妄想気味になることもありました。ある時は、世界ごと消えてなくなれとも思います。

自分の心の遷移とOK牧場

だからこそ、今「私も他人もOK」ではなくても、少しずつスタンスを変えて行けるのかもしれないと思っています。事実、私は若い頃よりも「自分だけ否定、他者肯定」の度合いが薄まっているように思います。平たく言えば「ま、いっか」の精神です。他の人と同じようにはできないけど、まあいいか。そんなふうに流せることも、以前よりは増えたように思います。

1ミリずつ、いや、1ピクセルずつくらいかもしれませんが、「私はOK。あなたもOK」の境地に近づいていけたらいいなと思っています。

一つの考え方の指標として

このOK牧場を知ったからといって、すぐに何か役立つわけでもないと思うのですが、自分を客観的に見つめる指標として面白いかなと思い、取り上げてみました。

ついでに、自分の親しい人や苦手な人も勝手に当てはめてみると、自分がどういう相手にストレスを感じやすいかが見えてきたりもします。

 

ちなみに、ガッツ石松さんのギャグはこの用語と関係あるのでしょうかね。疑問です。もし「OK牧場!」に「あなたも私もOKな存在だよ!」という博愛精神が込められてるのだとしたら、超深いギャグ…おそらく違うのでしょうけれど。