国立精神・神経医療研究センター病院(以下、NCNP病院)の気分障害(うつ症状)検査入院(6泊7日)について、前回端折ったWAIS-Ⅲ(発達障害の検査)のことを書いていきます。結果についても記載します。
※私が検査入院した時点(2018年)の情報であり、最新の情報とは異なる可能性があります。ご了承ください。
前回の記事はこちらです。
長編です…。 検査前の方は前半を、結果にご興味のある方は後半をどうぞ。
WAIS-Ⅲとは?
ご存知の方は読み飛ばしてください。また、本格的な理解には専門知識が必要となりますので、素人のざっくりした説明になることをご容赦ください。
WAIS-Ⅲはどんな検査?
WAIS(ウェイス)は、「ウェクスラー成人知能検査」の略称です。成人用の発達障害の検査として、近年知られるようになってきました。
第3版なので「Ⅲ」です。最新版ではありませんが、まだ比較的メジャーなバージョンのようです。
今回は、以下の2種類のデータを結果として受け取りました。
① 3種類の「IQ」
- 言語性IQ = 聴覚からの情報処理能力、言語能力。
- 動作性IQ = 視覚からの情報処理能力、非言語能力、運動能力。
- 全検査IQ = 全般的なIQ。
② 4種類の「群指数」
※IQと同様に100を基準とした数値で出ます。
- 言語理解(VC)= 知識や語彙。言語的な推理力、表現力。
- 作動記憶(WM)= ワーキングメモリー。処理や操作のための記憶能力。これが高いとマルチタスクが得意。
- 知覚統合(PO)= 目で見た物の関係を捉えたり、部分から全体を推測する力。非言語的な問題解決能力。
- 処理速度(PS)= 視覚情報の処理スピード。
これらの指標で、その人の「得意・不得意」を数値化しています。項目間の差に着目することも多いです。
なお、病院によっては、群指数よりさらに細かい ③「下位検査項目」のスコア を教えてもらえる場合もあるそうです。より詳細な得意・不得意を知るのに役立ちますが、今回のWAISは簡易検査という形でしたので、③は不明です。
WAISを受ける目的
個人的な意見ですが、WAISは、他人と比較したIQの高さ・低さに注目するよりも、自分の中の凸凹を明確にする意味合いで受けると良いのではないかと思います。
知的障害があると判断されたり、反対にMENSAレベルの高IQになると、また事情が変わるとは思うのですが、ある程度の範囲に収まっている限りは、私はこのように捉えています。
WAIS-Ⅲ(簡易版)のやり方
心理士と対面で、1時間半ほどかけて行いました。
- 口頭で質問に答える
- 紙に記入する
- 道具を使う
など、いくつかの形式で行われます。
これから検査される方のために、詳しくは書きません。内容を知らないで受ける方が正確な結果が出ます。
WAISを受けられる方へ
私がWAISを受けた日は他の検査も目白押しで、かなり疲れていました。検査中は集中力が全然保たず、途中休憩させてもらったり、質問を何度か聞き返す場面もありました。
つまり、質問の聞き返しや、途中休憩は原則可能です。
その分は減点されたかもしれませんし、問題によっては聞き返しが不可能かもしれません。ただ、1回目で頭に入らずに回答を諦めるよりは、聞き返してベストを尽くした方が実力が出ます。困ったらとりあえず聞いてみましょう。
また、気になることがあったり、辛い時も無理をせず、心理士に相談してみましょう。人によっては、気温・光・音などが影響して、力が発揮できない場合があると思うので、無理に我慢しない方が良いです。
WAIS-Ⅲの結果
ここから先は、私個人の結果です。これから検査を受けられる方は、慎重に読み進めていただくか、検査後にお読みください。検査内容には触れませんが、余計な先入観に捉われてしまうかもしれません。
結果を公開する理由は、似たような特性のある人や、あるいは全然違うタイプの人と、情報交換できるきっかけになればと思っているからです。
実際に、他の方のデータはとても参考になりました。この記事の最後にリンクをご紹介させていただきます。先駆者の皆さまには、心より感謝申し上げます。
では、結果を書いていきます。
① 言語性IQ・動作性IQ・全検査IQ
全てほぼ平均圏内です。問題は項目間の差。
この差(ディスクレパンシーと言うらしい)が15〜20以上あると発達障害の疑いが強くなるという説があるそうですが、私の場合、言語性IQ - 動作性IQ = 25です。Oh.....
子どもの頃から親に「どんくさい」とか言われていたのが、数値化されております。
ただ、最近はIQをそこまで重視しないとか。気を取り直して次に行きましょう。
② 群指数
あれ…差が…広がって…いるよ…。言語理解 - 知覚統合 = 37 です。処理速度もなかなか低い…どんまい…。
言語性(言語理解・作動記憶)と動作性(知覚統合・処理速度)で、見事に高低が分かれています。「頭でっかち」ってことみたいです。しょんぼり。
知覚統合の問題は、検査中に明らかに苦手感がありました。作動記憶が悪くなかったのは意外。自分では忘れっぽいと思っています。
病院からのフィードバック
結局、WAISからは何がわかったのか。病院からのフィードバックと、それについての私の感想を書きます。(医=医師・心理士)
医:「今日はこれだけタスクやろう」と書き出しても、予定通りに終わらないことがあるのでは?
解説:思考のスピードと、実際の処理スピードにギャップがあるため。
→ 私:ものすごく当てはまる。それで、自分で自分にストレスが溜まる。
医:動作性の能力に合わせて、目標は下げた方が楽かも。
→ 私:おっしゃる通りでございます。
医:上司から曖昧な指示を出されるのが苦手では?
解説:知覚統合が低いので、断片的な情報から推測するのが苦手。
→ 私:これも当たり。イラっとします。
医:でも言語理解が高いから、自分からコミュニケーションを取って確認したりしてカバーできるかも。
→ 私:そういえば、自然とそういう対処は身につけている。忙しそうな上司が相手だと、自分で確認事項をリストアップして、YES/NOの回答をもらって詳細を詰める習慣ができている。(ただし自分の仕事が増えるし、そもそも処理能力が高くないので、余計なストレスを抱える結果に…。)
何にせよ「得意」で「不得意」を上手くカバーしていくのが現実的だという結論に。
発達障害なのか?
医:会話からはアスペルガー傾向などが見られない。幼少期に感覚過敏だったエピソードもないようなので、発達障害の診断には至らないだろう。ただ、得意・不得意の差がこれだけあると、まあしんどいだろうね。
→ 私:グレーゾーンと受け止めました。気を遣って曖昧な言い方をしてくれたような気もしますが。
なお、より詳細な検査の勧めなどはありませんでした。私自身も、現時点では特にその必要性を感じていません。今後状況が変わったら、また考えます。
感想まとめ
以前から、発達障害の傾向がありそうだとは薄々感じていました。でも診断がつくかは微妙だと思っていたので、その点もまあ予想通りです。
というわけで、すごく意外な結果ではなかったのですが、数字のインパクトは結構ありました。自覚していたよりも、得意不得意の差があった。
“何となくの自覚”が明確になったことで、スッキリした感じはあります。得られた情報は、今後の生活環境や仕事について考える上で、かなり参考になりそうなので、上手く活用していきたいです。
ただ、WAISで自分の得手不得手の全てがわかるとは思っていません。思い当たることは確かに多いですが、日常生活の中には、WAISの尺度に落とし込めない物事も多々あると思います。解釈の仕方も一様ではないでしょうし。
誤解を恐れずに言えば、就活の適職診断とか、エゴグラム(性格適性診断)とか、あれくらいの感覚で参考にしようと思っています。適度に信頼しつつ、あまり縛られないように。WAISに限らず、これは私の個人的な信条です。 *1
今回、具体的な日常の困り事との関連にはほとんど言及できませんでした。もし反響を頂けたり、私自身が書きたくなったら、そのうち書くかもしれません。
参考にさせていただいたブログ
今回最も参考にさせていただいた、よもぎ (id:yomocracy) さんのブログです。とても詳しく整理されて書かれていて、大変勉強になりました。ありがとうございました。
他にも参考になりそうな記事が多く、ついつい読んでしまいます。
他の方のブログも、とても参考になりました。 やはり人間は千差万別だなと、不思議とほっとした自分がいます。貴重な情報をありがとうございます。
WAIS-3の結果公表と私の結果。 - NekoTanuBlue’s blog
WAIS-Ⅲの結果を受けてADHDの自分について掘り下げて考えてみた - まいにちADHD
※ご紹介させて頂いた皆様へ
事後で恐縮ですが、リンクがご迷惑な場合は削除いたしますので、お手数ですがご一報くださいませ。
長々とお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
総合的な検査結果については、こちらにまとめています。
*1:遅筆なのは、処理速度が低いから。その癖、書き出すと記事が長文なのは、知覚統合が低いから要約が下手なせいなんだぜ。と単なる言い訳にするのは、WAISの結果の悪用です。へへ。