国立精神・神経医療研究センター病院(以下、NCNP病院)の気分障害(うつ症状)検査入院(6泊7日)について、続きを書きます。
前回の記事はこちらです。
需要の少ないこのシリーズを長々書く理由は、自分自身の記録でもありますが、検査を検討する方の判断材料を少しでも増やせたらと思っているからです。
また、検査中に「症状や個性(特性)によっては、これは辛いのではないかな」と思った場面が何度かありました。検査の性質上、仕方がないことではありますが、事前に知っておけば何か対策が取れるかもしれません。そういった、形式的な情報からはわかりにくいことをメインにお伝えできればと思っています。
- 医師の問診
- 臨床心理士の面談
- 自記式の心理検査
- WAIS-Ⅲ
- BACS-Jほか(非実施の場合あり)
- PANSS(非実施の場合あり)
- 光トポグラフィー検査
- 簡易睡眠検査(PSG検査)
- 脳波検査
- MRI
- SPECT
- 血液検査・尿検査・レントゲン・心電図検査
- 心理レクチャー
- 入院生活(おまけ)
※記載の順番と実施した順番は、必ずしも一致しません。
※簡易睡眠検査以降の項目は、ざっくりした感想のみです。
※私が検査入院した時点(2018年)の情報であり、最新の情報とは異なる可能性があります。ご了承ください。
医師の問診
検査入院の最初に行うのが、この問診です。
NCNP病院の場合、ここで適応がないと判断されると、以降の検査が受けられませんが、通常はあまり心配しないで良いのではないかと思います。
問診自体は、過去の病歴、治療歴、検査入院に至った背景などを聞かれる普通の診察です。しっかり時間を取ってヒアリングしてもらえました。
臨床心理士の面談
私の場合、医師の問診とは別日に行われました。内容的には、問診と似ています。
自記式の心理検査
初日に渡され、6日目の朝に提出するというスケジュールでした。
私の場合は20種類ほどやったので、なかなかの分量でした。2〜3日に分けて進めましたが、トータルで2〜3時間近くかかったと思います。
主な内容は、抑うつ状態(BDI-Ⅱなど)、性格や考え方、社会生活、睡眠に関するものです。心療内科・精神科に通院している人なら、一度はやったことがあるようなものが多いので、難しく考えなくて大丈夫です。
WAIS-Ⅲ
WAIS(ウェイス)は、成人用の発達障害の検査として知られる知能検査で、IQでその人の「得意・不得意」を数値化するような内容です。
結果も含め、別途こちらにまとめました。長い記事ですが、ご興味があればお付き合いください。
BACS-Jほか(非実施の場合あり)
正式名称は、統合失調症認知機能簡易評価尺度。「統合失調症」と付いていますが、うつ病、双極性障害などでも認知機能が下がることは多いので、その辺りも含めて行う検査なのかなという印象でした。
BACS-Jだけでなく、プラスαの検査もあったので、全部で1時間半ほどかかりました。
心理士と対面で行われ、会話、紙への記入、道具を使った形式などで回答していきます。
PANSS(非実施の場合あり)
陽性・陰性症状評価尺度。統合失調症の症状評価です。
心理士の質問に口頭で回答しました。ほとんど該当する症状がなかったせいなのかわかりませんが、私の場合は短めの時間であっさり終了しました。
光トポグラフィー検査
「うつ病」「双極性障害(躁うつ病)」「統合失調症」の鑑別を補助する検査です。センサーの付いた帽子を被り、特定のひらがなで始まる単語を答えていきます。
検査の詳細は、こちらの記事などが参考になります。中立的というか、「過信は禁物」という内容ですが。
感想と結果
痛くない、怖くない、検査時間も短い、と負担が少ない検査なのは良かったです。
結果ですが、私は「うつ病」「双極性」「統合失調症」「健常」のうち、どの典型的なパターンにも当てはまりませんでした。数値はうつ病、波形は双極性と、両方の特徴が混在しており、ハッキリどちらとも判別し難いと言われました。
両方とも「気分障害」という同じカテゴリーの疾患なので、気分障害であることは、ほぼ間違いないとのこと。「うん、知ってた」という感じですが、仕方がないですね。
こういう曖昧なケースもあるということで、何かの参考になればと思います。
以前にも書きましたが、精度は約6〜8割と言われていて、この検査だけが診断の根拠とはなりません。もう少し精度が上がってほしいですが、色々難しいようですね。
なお、今回のNCNP病院の光トポは、保険診療扱いでした。保険適用外になる病院で、全額自費で負担してまで受ける検査なのかというと、判断は分かれるところだと思います。検査と一緒に高額な治療を勧めるクリニックもあるようなので、どうぞご注意を。
簡易睡眠検査(PSG検査)
大体こんな感じです。簡易検査なので、頭部に装着するセンサーはなかったと思います。病室のベッドで寝ながら受けられます。
脳波検査
検査中に、強めの光の点滅があります。視覚過敏の人は辛いかもしれません。また、センサーの装着に使う薬品で、髪がベトベトになります。
MRI
かなり大きなブザー音に晒され続けます。待ち時間+検査時間(ヘッドフォン装着)で計約1時間だったのですが、聴覚過敏ではない私でも、ブーブー音を聞き続けて疲れました。
SPECT
脳血流シンチグラフィ。薬品を注射して、脳の血流を測ります。身動きすると測定に影響するそうなので、20分〜30分の間、じっと静止している必要があります。
血液検査・尿検査・レントゲン・心電図検査
一般的な健康診断と同じ形で進むので、特筆すべきことはありません。
個人的には、生まれて初めて採血時に貧血…というか意識がブラックアウトしたのが事件でした。ただし、看護師さんの手技は見事だったことを*1、ご本人の名誉のために申し添えておきます。
心理レクチャー
不安やストレスマネジメントに関する個別レクチャーを受けました。1時間くらいでしたが、ためになる内容でした。認知行動療法がベースだと思われます。
また、音を使った心理トレーニングの教材も貸していただき、入院中に役立ちました。
個人的にこの種の療法・トレーニングには興味があるので、検査入院中にこういった機会が設けられているのは、とても素敵な取り組みだと思いました。
入院生活(おまけ)
- 緑が多くて敷地が広いので、空き時間の散歩が捗る。
- タリーズと小さな売店あり。
- 予想よりはご飯がおいしい(そもそも、何もせず3食出てくるなんてパラダイス)。
- 入浴、危険物(カミソリ、ハサミ)などについて、病棟一律のルールがあるので注意。
- 看護師さんには悪いけど、見回りが気になってぐっすり眠れなくてしんどい。
- でも、脳波検査などは睡眠不足の方が好都合らしいので、結果オーライ。
- どうしても眠れない場合は、頓服をもらうことも可能らしい。
以上です。あとまとめ1〜2回で、なんとか完結したいと思います。
*1:採血しにくい体質らしく、看護師さん泣かせです。何度も失敗されたり、たまに手の甲で採られるので辛い。でも今回は一発OKでした。すごい。