実験的に、文章でスケッチを始めてみます。経緯や詳細はこちらに記しています。
ほのかに空気の冷たさを感じる、10月初旬の曇り空。
一面の雲の向こうには光の気配があるから、どんよりとはしていない。どこかに白い明るさが残っている。
でも、雨の気配がする。風はほとんどない。時々カーテンの裾が、微かにそよぐだけ。猫じゃらしの群れが、小刻みに頷くように揺れている。
ぼんやりとキーボードを叩いていると、ぱちん、ぱちんと小さく跳ねる水の音が聞こえた。窓ガラスには水滴。ランダムにできていく、細かいドット柄。
徐々に水音は、しとしと連続する雨のそれに変わる。本格的に降り出してきたのか。
雨の匂いがしてきそうだけれど、さっき付けてしまったヘアスプレーの香りに邪魔される。
空にはまだ、明るさが残っていた。やがてその明るさに負けたのか、雨は弱くなる。通り雨だったのだろうか。
ぴいぴい。少し離れた所から、鳥の鳴き声が聞こえる。もっと遠くでは、カラスも声を張り上げている。
すっかり降り止んだと思った頃に、また、ぱらぱらと雨の音。今度は派手な音で跳ねている。
少し大粒の雨が窓をつたう。さっきまでただの水玉だった水滴は、すっかり、終わりかけの線香花火みたいな柄になっている。
風が強くなってきた。猫じゃらしが、右へ左へと揺れる。
曇りと雨の狭間で迷う午後。グラデーションがかかった天気。