生きるを手繰る

生きづらい私が、生きる気持ちをゆるりと手繰り寄せるために

飼い犬に学べるかどうかわからない生き方のヒント

*この記事は、山手線で2駅くらい進む間に読めそうです / 約2,300字*

我が家には犬がおります。ミニチュアとは言い難い大きめのダックスフント。雄です。もう14歳なので老犬と言っていい年齢ですが、多少の持病がありつつも元気に過ごしてくれています。

彼は名犬でも忠犬でもないのですが、お気楽な性格で、ふとした瞬間に人間を脱力させる絶大なパワーを持っています。日々眺めていると「こんな風に生きれば、もっと物事が楽になるのかもしれない」という気持ちになることがあるので、ここに書き留めてみます。なお、内容に実用性はありません。

常に未来は明るい。謎のポジティブさ

ウチの犬は散歩が好きです。常に散歩のチャンスを虎視眈々と狙っているので、誰かが外出する気配を見せると、「あ、散歩ですよね?」と勝手に期待して、ワクワクした顔で付いて来ようとします。置いていく方は罪悪感を抱くのでやめてほしいです。

台所で野菜を切っていれば、「切れっ端もらえるんですよね?」とワクワクしながら、私の足元でおこぼれを待ち続けます。尻尾を踏みそうになるのでやめてほしいです。

「自分にはいいことが起こる」と希望に満ちて毎日を生きている感じがします。なんかうらやましいです。

気持ちの切り替えが上手い

そんなお散歩大好き犬も、雨の日は事情が変わります。普段は呼ばずとも玄関までダッシュしてくるのですが、外に雨の気配を感じると「イヤです」という顔をしてどこかへ逃走します。濡れるのが嫌いなようです。

こちらも雨は面倒なのですが、トイレなどの事情で散歩をサボるわけにもいきません。そこで、逃げ回る犬を捕獲して何とか連れ出そうとするわけですが、この時の彼の気持ちの切り替え方がすごい。

さっきまであんなに「イヤです」顔で逃げてたのに、首輪にカチャッとリードを装着した瞬間、キリッと「よし、行くか!」顔になり、自ら玄関へトコトコ向かいます。顔文字にすると、(´・ω・`)→(`・ω・´) です。「ハイ、今気持ち切り替えた!」という声が聞こえてきそうで、何度見ても笑ってしまいます。

気が進まない時、体が重い時のために、自分にもこんな切り替えスイッチが欲しいものです。私は、「朝のコーヒー」と「仕事やPC作業時のメガネ装着」に、多少のスイッチ効果を感じますが、汎用性に欠けるし物足りません。フットワークを軽くしてくれる何かが欲しいのですが、さすがに自分に首輪とリードをつける勇気は持てません。

打たれ強い、めげない

彼は叱られると、とりあえず仰向けでお腹を出す「ごめんなさい」ポーズを取ります。 ところが、その数分後にはケロッとして何事もなかったような顔をしています。失敗を引きずらないし、自分を否定することもありません。どんなに怒られても果敢にいたずらし続けます。全然めげません。

my dog

ゴミ荒らしの現行犯。味噌のパッケージのビニールを被る現場を逮捕。

しっかり自己主張する

飲み水が足りなくなると、彼は「水がないんですけど!」と鼻先で容器を思いっきりカタカタさせて要求します。ご飯が足りない時も同様です。

あと、撫でられることに貪欲なので、しょっちゅう撫でろ撫でろアピールをしてきます。犬の頭の近くに手をかざしておくと、自ら頭を擦りつけてきて自動撫でられマシーンと化します。それくらい撫でられたがりの甘えん坊で、「自分を見ろ」アピールも凄まじいです。

飼い主がズボラで痒い所に手が届かない生活なので、自己アピールが強くなったみたいです。しかし、それにしても圧がすごい。私はそこまで他人に強く主張できないので、少し見習いたいです。

ほどほどに手を抜く

何というか、仕事が雑な犬です。おすわり、伏せ、お手が一応できるのですが、こちらのコマンドをどれくらい理解しているのか怪しいです。

例えば「おすわり」と言っても、一発で成功することは稀で、当てずっぽうでお手や伏せを繰り出してくるケースも多数です。「どれか適当にやってみれば、そのうち当たるだろう」といういい加減さが透けて見えます。

そして、1つ1つの行動のクオリティも低め。おすわりは中腰、伏せも頭が浮いているし、お手は一瞬おざなりにタッチするだけです。全てが適当です。 

でも案外、それくらい手を抜いて物事に当たってもいいのかもしれません。私は、雑な部分はすごく雑なのですが、妙に細部にこだわって自分の首を絞めてしまうことがよくあります。要領のよい手抜きに憧れます。

空気を読まない

彼は空気を読もうとしません。道路の真ん中だとか、そこではなるべく用を足さないでほしいと思う場所で、遠慮なく用を足します。

また、飼い主が落ち込んでいても、アニメやドラマのように可愛くペロペロ慰めてはくれません。目を半開きにしたホラーな顔で爆睡していたりします。人の顔色を伺わないので、常にリラックスしています。

シンプル

全部引っくるめて言えば、ウチの犬は余計なことを考えずにシンプルに生きています。まあ本当のところは誰にもわかりませんが、少なくとも傍目にはそのように見えます。

答えの出ない問いや、正解を知る術のない他人の気持ちについて考え続けるよりも、まずは目の前にあるものをしっかり見たり聞いたりする方がいいのかもしれません。物事を必要以上に複雑に考えて苦しくなった時は、「散歩して、ご飯を食べて寝る」くらいのシンプルさに還りたいものです。

 

ちなみに、この記事を書いている間も、ちょくちょく犬がキーボードへ顎を乗せてくるなどの妨害行為を仕掛けてきます。何かと邪魔ばかりしてくる生き物ですが、存在してくれているだけで十分なのだと感じます。そんなことを思ったり思わなかったりしながら、今日も我が犬をもふもふしています。