生きるを手繰る

生きづらい私が、生きる気持ちをゆるりと手繰り寄せるために

うつ・双極性ほか精神疾患の患者が利用できる制度とサービス

今回は主に、精神の病気で通院して半年〜数年ほどの方に向けた内容です。治療が長い方にとっては当たり前の情報が多く、病気でない方にもあまり役立たないと思うので、最初にお断りしておきます。

このまとめを書いた理由は最後に説明しています。

このまとめについて
  • とりあえず制度の名前やキーワードを知ってもらうのが目的です。色々言葉足らずですが、ご容赦ください。
  • 青い文字(各制度や施設の名前)をクリックすると、その単語をgoogle検索できますこのブログより有益な情報がたくさん見つかります。
  • 便宜上、障害者という言葉を多用していますが、「精神の病気を長く患っている人」くらいの感じで捉えてください。
  • 間違い、情報が古いなどありましたら、ご指摘いただけると助かります。
  • 他にも色々あると思うので、今後加筆修正するかもしれません。

経済的な助成・手帳関連

医師の診断書が必須なものが多いです。

自立支援医療

医療費の自己負担が3割から1割へ軽減される制度です。保険適用外の治療(カウンセリング等)は対象となりませんが、長期の通院ではかなり助けになります。

厚労省は明示していませんが、通院歴が半年以上あると申請できる場合が多いようです。

高額医療費(高額療養費制度)

もし入院してしまったら、入院費用は自立支援の適用外なので、高額医療費制度でカバーすると良いと思います。

傷病手当金

主に休職者向けの所得保障で、国保加入者は対象外です。メンタル系に限らず、病気やケガで仕事を休む際に日割りで一定期間受給できます。休職中に給与の支払いがない(または支給額がかなり少ない)ことが条件です。

職場に手続きを頼む必要があるので、負担に感じるかもしれませんが、遠慮せず頼みましょう。

特定理由離職者

失業保険(失業手当)に関する制度です。病気が理由で自己都合退職した場合、ハローワークでこの特定理由離職者に該当すると認められれば、通常の自己都合よりも給付制限(給付開始日)や給付日数の面で優遇されます。自己都合だからと諦めずに、ハロワに確認してみてください。

障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)

精神の場合、原則、初診日から半年経過で申請可能と言われています。

手帳についての考え方は人それぞれなので、無理に取得する必要はないですが、いくつか思いつくメリットを挙げてみます。

障害者手帳があると可能になること(例)
  • 障害者採用枠での就職

  • 各種福祉サービスの利用(手帳が無くても利用できる場合もあるが、持っているとスムーズ)

  • 公共交通機関の割引・補助(自治体によって異なる)

  • 携帯電話、公共料金、NHKの割引(条件や割引額はまちまち)

  • その他民間サービスの割引(美術館、映画館の割引等)

  • 所得税の障害者控除

手帳を持つデメリットは、個人的にはそれほどないと思っています。自分から話さなければ、他人に知られることもないです。強いて言うなら、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(緑の用紙)の障害者欄に◯をして提出すると、会社には知られます。

手帳を持つことで、かえって自分の心の負担になってしまいそうなら、持たないというのも一つの選択だと思います。

障害年金

原則、初診から1年6ヶ月経過後に申請可能となります。働いていても、申請・受給は不可能ではありません。障害基礎年金障害厚生年金の2種類があり、要件がそれぞれ異なります。

お金に関わることなので、制度も手続きもかなり複雑です。私の場合は初診が20歳前で、基礎年金のみの申請でしたが、病歴が長く書類を揃えるのがすごく大変でした。たまたま年金事務所の担当者が親切で助かりましたが、病状が重い時に一人で手続きするのは難しいと思います。社労士や行政書士に依頼する人も多いですし、可能なら身近な人に手伝ってもらう方がベターです。

事務手続きの負担が大きい上に、審査もより厳しくなっていると聞きますが、受給できれば本当に有難いので、一考の価値はあると思います。

生活保護

詳しくないので、一言だけ。本当に必要な時は、遠慮しないで制度に頼りましょう。そして生き延びましょう

世帯分離

住民票に関する話です。独身で実家で生活している場合、状況によっては、住民票上で親と自分の世帯を分離する方が都合が良いパターンがあります。

私は職を転々としていることもあり、健康保険の手続きや納税などの面で、別世帯にして気が楽になりました。全部自分で完結できるので。福祉サービスの利用負担が減る場合も多いようです。

ただし、家族全体で考えると経済的にプラスになるとは限らないので、よく調べて総合的に判断してみてください。また、自治体によっても色々事情が異なるようです。

働きたい・どこか通える場所を探したい

福祉サービスは似たような機関が多くて分かりにくいのですが、どこかに問い合わせれば、適切な他の場所に紹介してもらえる可能性が高いです。気軽に問い合わせてOKですし、行政の福祉課に聞いてみるのもお勧めです。

手帳がある人の利用が前提ですが、なしでも利用できるケースが増えてきたようなので、諦めずに聞いてみると良いです。

どこも混み合っていますし、福祉や医療の職員も人間なので、過度な期待は禁物ですが、割り切って上手に頼れば得られるものはあります。

リワーク

職場復帰支援プログラム。つまり休職中の人向け復職支援です。病院や公的機関で実施されている場合、手帳の有無はあまり関係ありません。福祉サービスの事業所がリワークを行っているパターンもあります。

障害者就業・生活支援センター

通称「なかぽつ」「しゅうぽつ」。障害がある人の就労や生活について相談でき、支援してくれる場所です。在職中でも就職希望者でも利用できます。

地域障害者職業センター

こちらも、働くことに関する相談ができる場所です。ジョブコーチという支援者を派遣して、職場への適応をサポートしてくれるのが特長です。

就労移行支援

就職と、その後の職場への定着を支援してくれる施設です。大雑把に言うと、障害のある人向けの職業訓練校みたいなイメージです。

就労継続支援A型

一般企業などでの就職は難しいが、雇用契約を結んで働くことができる人向けの施設。給与が支払われます。

就労継続支援B型

雇用契約に基づかない形で作業する施設。工賃が出ますが、最低賃金より少ない場合が多いようです。

デイケア

レクリエーションをしたり、体調管理方法を学べたりするプログラムです。通所することで生活リズムも整います。病院で実施していても、現在のかかりつけ医から転院せずに、デイケアのみの利用が可能な場合が多いです。

同じような立場の人と話したい

当事者会

患者会家族会自助グループなどで検索しても、色々と関連情報が出てきます。

ピアサポート

「同じ立場の人(当事者)によるサポート」という意味です。「気持ちを理解してもらえる当事者に助けてもらいたい」「自分の経験を活かして、誰かの役に立ちたい」という人は、この単語で調べると情報が見つけやすいかもしれません。

参考になるサイト

厚労省のページに良いまとめがありました。もっと幅広い情報が載っているので、ぜひこちらも参考にしてください。

www.mhlw.go.jp

なぜこの記事を書いたのか

15年以上通院している私ですが、様々な制度について知ったのは、ここ数年です(自立支援医療は病院で教えてもらい、長く利用しています)。手帳も年金も自分に要件があるとは全然知らず、2、3年前に色々考えて申請しました。

そもそも、うつ状態が酷い時に、積極的に制度について調べる気力はありません。「自分のことなんかどうでもいい」みたいな気持ちにもなるので、なおさらです。周囲に詳しい人や、一緒に調べてくれる人はいませんでした。かなり経って、色々と知る機会に恵まれました。

制度を知っていて利用しないのと、全く知らないのでは、全然違うと思っています。キーワードがわかれば、調べる取っ掛かりができると思うので、その一助になれば幸いです。

色々調べて事務手続きするのは本当におっくうだと思いますが、ここはちょっとだけ頑張りどころです。調子の良い時に少しずつ調べて、利用したいものがあれば、他人の手も借りて上手に活用できると、長い療養生活の助けになります。

不正受給など制度を悪用する人がいる一方で、本当に必要としている人に情報が届きにくいのは、とても残念なことだと思っています。このブログは、それほど多くの人目に触れるわけではありませんが、たった一人でも、昔の私のように不安を抱える誰かに届いたら。そんな願いを込めて公開します。